November 17th, 2009
今年はインハウスの仕事〜すなわち家内のNOKKOのアルバム制作で忙しい。ボクはMIXが本業でRECORDINGは年に1、2回あるかないか??
今回は原盤権利を共有するスタンスからの事の始まりなので選曲〜デモ〜実際のプロダクション〜そしてMIXで終わりなはずが、そこからはプロモーション〜事務所の社長もやらなくてはならない。
そんな事とMASTER RECORDERのトピックスとは無関係だが良い機会なのでミックスシステムをアップデートしてみた。
まずは前回紹介したCHORD ELECTRONICS QDB76をボク用にカスタマイズしてもらいプロ仕様の送り/受けが出来るようになった。
オヤイデ電気からFTVS-910という110 OhmのDigital Cableを用意して192 I/Oより直接引いてQDB76に接続することにより強烈にジッターノイズが下がった事も確認出来た。
今まではLAVERY ENGINEERINGのD/Aよりのモニター環境一点だったのが QDB76の出現によりよりハイエンドオーディオ的なモニター環境というよりもよりコンシュマー的になった事が多きな進歩である。また今回のレコーディングを通して再認識した事は商業スタジオの「音の悪さ」である。「悪さ」と言うと語弊がるが他に選ぶ言葉が無いほど楽しい音がまったくしない。
大音量にしても小音量にしてもまったく楽しい音がしない。アメリカではこんな事はまずない。
勘をたよりに録音して持って帰ってきた音がここのシステムで聞いてホットするけれど、もっと良かったらと思うのはスタジオのモニター要因が大きい。
今回のアルバムはデモの段階より完成に近いイメージで音作り、歌入れもしてきたので最初のデモと最後のミックスは同じ印象でなければならないという自己責任のもとに
システムを構築する上で重要なのはMASTERとしての収録先である。このスタジオでどんなに楽しく作業が出来てもこの場限りではいたしかたがない。
そこで今回登場したのが1-BIT RECORDER KORG MR-2000Sである。
当初、KORGという楽器メーカの作るA/D変換に疑問を持っていたのだが実際に聞いてみると全く問題が無いというより素晴らしい!
構造上の構成からも1-BITとは従来のPCMと較べて非常にシンプルらしい。収録のルートはD/A変換されたQDB76よりオヤイデのAR-910(銀のケーブル)でMR2000Sに結線することによりアナログ伝送によるハイ落ちを極力防ぎ、QDB78のバッファーをMAX設定にしておおよそ5秒くらい遅れて1-BITに取り込むというスタンスはまるで1/2″テープの再生ヘッドを通して聞いているようで緊張感もある。
こんな感じで現在ミックスが進行している。もちろん通常のPCMも同時収録しているわけだが
何よりも楽しいのはセッションいちいちを立ち上げなくとも、済んだMIXをすぐに聞く事ができる便利さである。ひと昔はDAT RECORDERがその役割を果たしたように随時プレイバックが出来ることである。
これにより他の曲との対比が瞬時に行える。これは便利である。しかも聞いたとおりの音質であるからなおさら信用できる。
客観的に聞いてみたい場合などはMR2000Sの-10dBアナログアウトを真空管のアンプを通してCHORDのアンプに直結して聞くとおおよそのマスタリング処理を想定したコンシュマーな音で自分のMIXを楽しむ事も出来る。
最終的なMASTERとして使えるかという評価は来週のマスタリングに持ち込み結果が現在のコマーシャル音楽としてのマスターとして適応性があるかという基準の判断されるわけだが、
今日まで1/2″アナログ〜16 bit DAT~究極の1”アナログまでMASTER RECORDER は進化してきたのだが、ここに来て1-BIT DSDが登場したことによりミックスの方法論や考え方が更に進化してゆく事に明るい期待を持つ。

September 21st, 2009
先日、小西さん コニシス研究所 CONISIS Lab にお願いして作って頂いたラックマウントが完成して届いた。
これはDAWになって問題にしていたVOCAL RECORDING時に生じるさまざまな問題を一気に解決してくれる言わば理想のシステムだ。
先にも何度も述べたが現在のレコーディング現場においてまともな録音をされていない。出来ないにつきるのは20余年前のコンソールで現代の音楽を創造する事や
更に古いモジュールを使いトランスの後ろにコンプを直結して結果S/Nを落として「音が太い」と勘違いするような本末転倒のやり方で行われているのが現状のようだ。
唄う方もやりにくいだろうし、録音する方もやりにくい。多分売る方も売りにくいのではと思う。そこで僕が小西さんにお願いしたのは以下のポイントである。
(1)使用するマイクの選択が決まっている点。
うちの場合はノイマンU87iで出力が現行モデルよりも低いので
オールド・ニーブのようにプリアンプが-70dBまでと幅広い選択
(2)マイクプリアンプよりのインサートポイント
ここからUNIVERSAL AUDIO 1176AEにと接続される。
コンプレッサーへの送りレベルもマイクプリのレベルとが適正にマッチングされるので
1176の受け側のINPUT/OUTPUTのつまみの位置も調節幅が良好で好S/N状態になり微妙な調整が可能
加えてインサート・ポイントがPRE-EQなので音の補正はコンプされた音の後なので環境ノイズ等の影響によって
補正さる分のEQゲインはコンプのスレッショルドに関係がない。
(3)最終アウトはMAXを0dBとしたアッテニュエーター方式のVOLUME KNOBがある。
これは通常Aカーブと言われるログリズミック・カーブと呼ばれ,
主にフェーダー等に使われる特性のもので非常になめらかにに効き、
手応えも素晴らしく、ほんの少しのレベル・チェンジも唄っている本人にも気がつかないほど滑らかである。
特にこの微妙なレベル・チェンジが収録先に大きく影響されるのはもとより、
唄う本人にも小さく唄う部分や大きく唄う部分の手助けが簡単に行えるので
モニターバランスも崩れない。
(4)さすが30年以上も前の物なのでコンデンサー関連を全て新しいのに替えていただいた。
内部配線も、電源も強化されているので高い水準のS/Nを確保できていて
これが30年以上も前の機材の音とは思えない程素晴らしいアナログな音がする。
以上のように単純にオールドニーブが全てではなく、このようにニーズに合ったデザインとメンテナンスを施さなければ
まったく用途をなさないのが現実である。
全般的に機材による「音」がよくなるというという神話的傾向は、ある考え方からすれば「こんなに良い音だったら何もしなくても良いのではないか」
と言う解釈にも受け取れるが、本当に「良い音」がするマシンを所有するという事は「使いこなす」という事である。
高額なスポーツ・カーのエンジン音だけをニュートラル状態で聞いて200 km以上出せたような気持ちになって所有満足だけを満たし
あたかもレースに勝った気持ちで終わるのではなく、
機材とはすべてにおいて使いこなして結果を出す事が本来の目的である。
August 5th, 2009
先日サウンドデザイナー誌より訪問を受けて当スタジオを取材していただきました。
今回の企画はどちらかと言えばクリエーターのプライベート・スタジオを特集された形式なので
この場合、私のスタジオは家内のNOKKOのアーチスト・スタジオと紹介された方が的確なのですが、僕らがこだわって厳選した機材や環境などが紹介されていて
多分この誌を読まれる方々は大変興味ある内容になっていると思います。
一昨年よりも、そして昨年よりも昨今、大きなメジャースタジオを利用する機会が年々減っています。
もちろん業界の売り上げ低下による予算カットに影響する経営困難なスタジオの最新設備投資の制限などが僕の足が遠のいた原因になった事もその理由のひとつだと思いますが
今では昔のようなセオリーは通用しない(していない)という現状を一般の読者に見せてしまったという感(危惧)も感じる。
今となっては古い機材しか手に(耳)にする事しか出来ない大きなスタジオのエンジニアやアシスタントはハイエンドのD/A convertorも最新のPLUGINも話には聞いた事があっても
実際に聴いた事も使った事さえないかも知れない。アントレスの使い方は誰よりも早いから茶髪のディレクターの御機嫌を取るのには長けていても音楽(音)の核心からは程遠く
大気圏の外側を調子良く回っている衛星のようでいつか(そう遠くない将来に)宇宙のゴミとなって空気のない宇宙で「志」が消滅するのは心もとないとも思うが
そういう時代なのだと思うしかない。
ところが、アーチスト、クリエーター達は自己の作品にあいまいな凡庸用途な音楽等(作品)は決して作らない。
自分のため。それが結果的にファンのためになるONE AND ONLYな(作品)音を作るための
スタジオ(作業場)である。
「ナレーションからオーケストラ、演歌、ロック、デイスコまでを何もかも平均的に録音、再生できる制作環境です。」というコマーシャル・スタジオではないのである。
だからこそサウンドデザイナー誌特集が成立する時代なのだと思う。
このまま芸能/音楽業界が萎縮していったら、雇用環境/状況は
商業スタジオのアシタント志望=ファミレスのバスボーイと何ら変わらないかもしれない。
しかし時代は確実に進歩していると確信する今日この頃である。
ミックスを依頼されて、実際に手にしたり、聴きながら彼らの発する自己の感性が音楽に意図された大切な「志」を感じる。
その「志」とは決して完璧ではない曲線や直線(一番可愛いところ)が(聞こえて)見えてくる。そこを見極め、磨くのには数時間、あるいは数日かかる事もある。
プライベート・スタジオと商業スタジオの作業や時間の流れの大きな違いはそこにある。
もしも諸氏がこの記事を読んでからサウンドデザイナー誌を御欄になってからの諸アーチスト/クリエイター達に対する違った(新鮮な)印象を感じる事ができると思う。
しかし最近感じる事はこの不況のせいなのか?アシスタントや志望の技量の質は数年前より確実に進化しているけれど(技術/開発に比例して)
音楽やその素材の扱い方/対する感覚の粗雑さには決して2度と再会したくないと思うのが本音である。
泥だらけになって土まみれになっても、初めて土から焼き上がった茶碗によそわれた米の美味さをいつの日も忘れてはいけない。
July 9th, 2009
いつか試聴したいと待ち望んでいたD/A convertorがデモで拙宅に到着した。
このD/A convertorは最新のスイッチング電源を備え、なんと2608回ものOver Sampleを行うのである。その上に独自のデジタルフィルターを通り
完璧なまでのノイズシェイピングを可能にしているのである。
一般的にD/A convertorにはプロユースを前提に設計されたPRISM SOUNDやLAVERY等、遅延がなるべく少ない仕様に設計されている分
本来の「音色を創る」と意図に欠けた製品が多く、ただ単に「高精度な道具」としての印象が強くどれも余り魅力的ではなかったが、このCHORD ELECTRONICS QDB76は
プロ仕様にはない「音の個性」を非常に強く感じられ非常にわたし好みの音がする。
なるほど、このD/A convertorでいろいろなソースを聞くと「良い録音」は素晴らしい音で再現される。最近の銘録音CHRIS BOTTI in BOSTON (live in Boston Hall)
はステージ上の電源ノイズからフロアノイズまで聞こえすぎる程、あたかも中継車の中でモニターしているように生々しく再現される。
自分がグラミー賞受賞に片棒かついだ2000年の録音David SanbornのINSIDEは当時のMIX収録先である1/2″アナログテープのヒスが懐かしく思い出させる。
最近うちのレーベル/SONYにライセンス契約したRENDEZ VOUS IN PARISはBLUE SPECなのでCDからの読み取りが良く音も滑らかだった。
しかし、興味深いのは80年代の作品、特に銘録音とされるDonald Fagan/Nightflyは期待していたほど素晴らしい音ではなかったのはCD制作の行程での進化が今日まで進んでいなかった事が大きな理由であり、これはアナログ盤の方が断然素晴らしい。
そのほかデジタル・リマスターされたLED ZEPPLINや、最新のMELODY GARDOT~等、最新のデジタル時代のソースを見事に再生する。
古いものもそれなりに素晴らしく再生されるが、新しく良い音で収録された作品を更に高いステップに持ち上げる。
このデザイナーは音楽の事情を非常によく判っているんだと思う。
そして最後に実際にAES/EBUとしてPRO-TOOLSの出力を聞いてみるとこれがまた、たまげる程良い音がする。
まず最先端のノイズシェイピングによりPRO-TOOLS独特の固い団子のような音がしない。すべての音のソースが何層にも整頓されてそのソースに合った音に解像されて
再生されているのが目に見えるようになる。
結果、全体にストレスのないアナログ正弦波となってアンプに送り込まれるのでスピーカーに全く負担のない大出力が得られるので長時間の作業で
疲れる原因になる歪みがまったく無いので仕事もはかどる。(ちなみに拙宅のスタジオのPOWER AMPはCHORD社である)
このD/A convertorにはスタジオ用にはあり得ないバッファー機能がついている。2〜3秒くらいの遅延があるのだが、これを通すと更に完璧なノイズシェイピングが行われるので
再生音は信じられないくらい解像度が増す。フェーダーやミュートを行う作業には不適だが、EQやREVERBをかける等等の作業には素晴らしく効果がわかる。
実際に世界レベルのマスタリング・ハウスではこのくらいのバッファーを組んで作業されている事を実感していたので、これはデジタルミックス時代には不可欠だと改めて思った。
解像度の高いモニター環境に身をおいて作業するのとそうでないのとでは結果は明らかである。足りない部分がまったく見えないからである。
デジタル・ミックスの一番の難しさはEQの度合いやREVERBの分量を決めかねるところにある。必ず多すぎるか、少なすぎる。これは解像度の問題に起因している。
アナログの場合はツマミの位置から伝わる手の感覚を元に他の音との馴染みを実際に聞きながら調整できるのだが、デジタルの場合はいかんせん数値の組み合わせ以外なにものでもない。
よって最後の「音になる」部分の精度が低ければその伝達量は50%にも満たないかもしれない。
だからこそデジタルのデーターをいかにアナログらしく聞かせるかとという最大のテーマがD/A Convertorのデザイン、使命であるという大変興味深い結果だった。
ちょっと見た目も映画SPACE ODDESY 2001(2001年宇宙の旅)に登場するHALのようでイギリスらしいユーモアも感じる。
そのうちに何のソースが入力されていなくても勝手に唄いだすかもしれない。……I can sing it for you….

July 6th, 2009
ついに時代はデジタルメディア以外への収録先は無くなった感があります。アナログのハーフインチレコーダーに収録するにもレコーダーはあってもテープも種類が少ない。
アナログのコンソールでパラ出しでMIXしたとしても収録先はデジタル。せいぜい品の良いA/D CONVERTORの選択肢しかない。
そうなるといかに「音」らしいMIX を施し記録させるかに「音楽」の完成度〜成功が問われるわけだが、事ある度にデジタル・クリップについてコンコンと説明してもクリップだらけのAudio Trackやプラグインでクリップを隠しているセッションを受け取る。
実際にクリップしているAudio Trackにプラグインの出力レベル調整によりクリップ点灯は回避されても(メーターはプラグイン処理後のポスト表示である)
これでは実際には歪んだAudio Trackにプラグインをかけているのと同じで、これでは腐った食物に黒い醤油やソースをたっぷりかければ腐った部分が見えないとのおなじである。
先日興味深い説明とテストを行った結果、PRO-TOOLS内でのクリップ表示はハードデイスクからの読み取りから点灯/表示(インターサンプル・エラー)されるものであるとの事。
すなわちINTERFACEでの歪み検出では無い事が判明した。拙宅のシステムはではMIXに使うバスに新たにAES/EBU出力を介してSONYのメーター(DMU-7000)でAES信号としてピークを検知しているが必ずしもクリップ表示が同じである事はない。外部メーターはAES/EBUに変換された信号のオーバー表示をしているのであって、PRO-TOOLSのクリップ点灯はインターサンプル・エラーを表示しているのである。
しかしオーバー・レベルで収録されたAudio Trackが歪んでしまっていたのでは基本的には手の施しようがなく必ず歪んだ箇所はMIX BUSに影響を及ぼす。
そこでAudio Trackの出力前にTRIMをインサートするのだがこのTRIMをインサートする事によりBIT数が失われてゆくのをご存知の方はどれだけいるだろうか?早い話がわざわざLO-FIなんていうプラグインでBIT数を落とす必要がないくらい鮮度が失われる。-2dB~-5dBくらいでは判別は不可能に近いが確実に失われる。
レベルを健康的に大きくすれば良いという古いアナログ的な考えの間違った伝承結果であるように大きすぎるレベルは困りものである。
クリップ表示に戻るが次に問題になるのはプラグイン関係である。
同じようなデザインのコンプにしてもEQにしてもクリップし易いものとそうでないものがある事実にも困るがここでの歪みはMIX BUSSで起こる一時的な歪みではなく致命的な
インターサンプル・エラーによって演算しきれない不純物データだけが再生されるので完全に音が痩せてしまう。
ここを注意せずアナログ感覚でやり過ごすからデジタルミックスは音が細いの、痩せた等と言う事になっているのが実情のようだ。
さて、申し分なくデジタル内部で完璧で納得のゆくMIXができたとしても、出来上がった作品が市場に出回ったときに誰が購入してどんなシステムで聞くかという問題を考えた場合、CDプレイヤーで聞くのが常識ではあるが、最近のCDプレイヤーの技術の進歩から考えて殆どのプレイヤーはOVERSAMPLING仕様になっているのが通常だと思う。
44.1kのデータを内部で88.2K(x2)あるいは176.4K(x4)あるいはそれ以上ににサンプリングし直してアナログ出力とする方式である。素晴らしくレベルコントールされた作品にはこの効果が発揮されるがノリだけで作ったクリップ音楽をOVERSAMPLEしてもそこには何のワードも存在しないただの直線データしかないのでOVER SAMPLERは前後の適当な情報をアルゴリズムによって書き換えてとりあえずデータにすると、これが歪みになるのである。この歪みはアナログのようなサチュレーションでは無く、ただグチャと平べったくなる。
世の中でどんどん技術が進んですでにOVERSAMPLE技術も低価格のCD PLAYERにも搭載されているのみも関わらず作る方がデジタルメデイアを歪んだ使い方をしていてやれデジタルは線が細い等と言いわけしながら音の悪いCDを作っていたら売れるわけがない。確かに歪んだCD等コピーで十分かも知れないと思うコンシュマーの気持ちもわかる気がする。
ところがこの問題に限ってはCDのみなのである。CDは物理的にプレイヤーによる構造上の問題やOVERSAMPLINGによる影響やジッター等に大きく左右されるが、
配信等コンピューターからのダイレクト・ストリーミングに関しては影響は全くない。これも今や配信の方に人気があるのもうなずける。
80年代にレコードが消えてCDの時代になって20数年後の今、CDも当時のカセットのように
コピーしたりするだけのメデイアになりつつありながらも良い音の作品を作ろうという意欲をもつ方々に朗報があります。TRILLIUM LANE labからのTL Master Meterです。
このメーターは実際にover sampleされて何処で歪みが起こったかを検知/予測してくれます。
これされあればとりあえず歪まないマスターをマスタリングハウスに納品あるいはレフとしてクライエントに渡す事ができるのです。
こういった道具はありそうでなかったので大変便利です。
試しにソース側のAudio Trackにこのプラグインを使ってみると結構大変な事になっています。

それからもうひとつOXFORD LIMITER もインターサンプルを表示できる機能があります。

このLIMITERはヘッドルームに余裕があるので相当デカイレベルのレフミックスを作成する事もできます。加えてプロセスの微調節が効くのでフラットな棒状のミックスに
なる事もありません。大変お勧めです。
May 8th, 2009
最後にデジタル版のコンプレッサーについて書いてみようと思います。
DAWで完結する昨今のコンプレッサーの使い方というのは収録に使う事は殆どなく、大概は適当に各チャンネルにぶら下げてあるような使い方を多く見かけます。
その殆どが用を成していない設定が多いです。
さておいて、デジタルの場合は凹みの部分を平均的に持ち上げようとすると「あっと」言う間に真っ平らになってしまう事が多いです。
アナログの場合ですとコンプレッサーのオペアンプが扱う周波数の陰影が影響するので平均的には決して聞こえない事に良くも悪くも要因します。
ところがデジタルではムラを無くす為というより何もわからずに使ってしまうと基礎プログラミング的に平均的な結果になってしまうようです。
クリニカル(医術的)な処理を求める場合には良いのですが、MIXの中で人間の耳に聞き易くする為のコンプレッサーの活用としては味気ないです。
そこで、MODELINGになるわけですが、ハードウェアのコンプレッサーを使った事も見た事もない人には何の事かわかりませんが、
MODEを選べるプラグインには”normal”やら”electro”"opto”"warm”とか、”distortion”の選択がありますが、これらがアナログ・ハードウェアのコンプレッサーのモデリングです。
“opto”はLA-2Aのような光学セルを擬似したわけでリリースのスピードを遅らせる事により、まるでビンテージ・コンプのようなかかりを再現しているのです。
しかし、良く取り説を読むとGRが3dB以下だったり、3dB以上であるとリリースは早くなるとか、、、、、どれも同じデザインではありません。
キャラクターを要する場合に”warm”とか”smooth”とかもあります。”warm”の場合は低い周波数には深くコンプがかかるように設定され
コンプされた音の抜け具合が変わってきます。逆に”smooth”ですと周波数を干渉することなく平均的にかかるわけです。
更に真空管によって起こるTHD(ハーモニックディストーション)を2次、3次と再現できる機能がついているのもあります。
現行で存在するプラグインのコンプレッサーはハードより多いのが実情で大きなセッション内で各チャンネルすべてにぶらさげても余るくらいですが、
どのコンプレッサーが良いのか?(適しているのか?)というのも疑問な割には結局option-dragで同じ物がぶら下がっているのが実情です。
ここで最初にお話ししたレシオとゲイン・リダクション(+アタックとリリース)をどれだけ理解できているかが誤った選択や使い方をしないで済む方法です。
各プラグインを同じレシオ設定ににして同じ量のゲイン・リダクションを行い、リダクトされたゲインだけをアウトで補う。(+アタックとリリース)
条件にを同じにしたところで各プラグインを聞き較べるのが正当です。物によっては素晴らしく効きが良いものや、音質が良いもの。
あるいは掛っているのかわからない程スムースなのか全く意味を成さないな物まで多彩です。
しかしコンプレッサーの基本は音を整える為にベストな組み合わせを選ぶように、またこれこそがMIXの基本でもあるように種々の選択〜
ダイナミックスを手中範囲内でいかにコントロールできるかがエンジニアに問われるテーマでもあります。
先日、当スタジオに学生さんのインターンが見えた際に丁度良いコンプレッサーのデモンストレーションだと思ってアナログ〜デジタル、真空管の選択からアナログとデジタルとの音の差を十分すぎる程一緒にテストしましたが、こういう機会がなければこれから始める若いエンジニアにはプラグインの”opto”やら”warm”の基本的な意味もわからなかったでしょう。
最近では何でも知っている風でマニュアル(取り説)を全く読まずに直感的な感覚だけでマウスやらトラック・ボールで音を作り、ツールスの”overload”も何のその、その方が音が過激になって良い等と平気で仕事している人が居るようですが、マニュアル(取り説)は絶対に読んでおいた方が賢いですね。各デブロッパーからは無料でダウンロードできるので是非ご覧あれ。
最近のお気に入りのデジタル・コンプはdigiのSMACKです。
非常に軽いので扱い易く、音も細くならずにパラメーターも判り易いです。
アナログ・コンプの名機 TELETRONIX LA-2A から最近のEmpirical Labs Distressor のシミュレーションまで出来る優れものです。

最後にコンプレッサーとはわれわれすべてのエンジニアの永遠のエフェクターであると僕は信じています。
May 7th, 2009
最近UNIVERSAL AUDIO より1176 Anniversary Edition が発表されました。これを機会に当スタジオで試させていただきました。
先のポストにも記したように1176のポピュラリティーは絶大ですが、この1176には数々のVariationがあって僕自身使った事のある機種は最初のrevision Aからrevision Hぐらいまでを使ったことがあります。(ほぼ全機種)
中でも一番人気が高いのはブラックフェイスになってからのD typeとE typeです。
しかしこれもすでに70年代のVintageで現行で素晴らしい状態で残っている1176 rev D or Eを体験できるスタジオは日本では乃木坂のSONY STUDIOだけでしょう。
e-BAYやその他のオークションでもこのrevisionの評価は高いですが、その状態を推測する事は不可能です。
ひどいのになるとノブのガリはひどく、トランスもカサカサでメーターは不作動なんてザラです。1176の用途は多彩きまわりないのでボロがほとんどです。
しかし今回試した1176AEは状態の良いビンテージを思わせるような良い音がするので改めて2代目の意気込みを感じました。
同じパーツと手法を以て復刻版を作成しても当時のビンテージと聞き較べると明らかに復刻版は音が固い印象を与えてしまいがちです。
当スタジオのLA-2A復刻版もすぐに真空管を交換して改めてバイアス調整をしたくらいです。
しかし、この1176AEは最初から持っている音質の良さには驚きます。
加えてLA-2AやLA-3Aなどにあるレシオ2:1から使えるようにした点は効果的でベース等の楽器やバラード系のボーカル収録〜等には非常に効果的です。またステレオで使用した時のトータルコンプとして使う等、2:1の使い道は多彩です。更にSLOW ATTACKのチョイスも用途が増します。
自分が最初にアシンタントとして勤めたスタジオがChicago Universal Recording Studio ですがこのスタジオを創立したのがご本人BILL PUTAMN だった事も何かの御縁です。
スタジオにはこの1176 revision Aやらそれ以前のプロトタイプが何台もあってrev A はシルバーとブルーで赤いランプが付いていたのを覚えています。
しかしながら時代は1980年で当時の音楽のスタイルからモテはやされたのはdBXでそのアタック感、スピード感とS/Nの良さが評判でした。
当時は1176には収録以外ではあまり電源が入っていなかったのが事実です。
今となってはスピード感やS/Nの高さのあるコンプを求めるならプラグインの方が抜群ですから当然、デジタルでは求める事の出来ないアナログ感はアウト・ボードに限ります。
現行のアウト・ボード・コンプレッサーも数ありますが、まず最初の1台としての入門としてもコスト・パフォーマンスが高く、音質の良さ、さらに使い勝手が宜しいとなるとこの1176AEは非常にお勧めの機種だと思います。しいて文句を言うならばあの赤いランプを付けて欲しかったです。

May 6th, 2009
昨今ではデジタルミックスが主流なのでコンプレッサーをプラグインとして使うと本当のその真価をわからないまま使っている事が多いと思うのでコンプレッサーについて書いてみようと思います。
まずは録音の場面でよく遭遇するのは高級マイク〜高級プリアンプ〜高級コンプッサーその後ダイレクトにI/Oに直結して録音レベルをコンプの出力で調整している光景をよく見かけますが
僕はもちろん黙って見ているだけですが大きな間違いで唄っている歌手もレベルを自己のダイナミック取りにくいので唄いにくそうでニュアンスも不安定になりがちになり結局はアントレスに診断される事になっているようです。正しい接続方法はコンプッサーのあとにフェーダー(アッテニュエーター)を繋げてからI/Oに接続が正しいです。その結果、設定されたレンジの中で歌手は自由に創造する事が
出来ることになるのです。コンプッサーを理解する上の根本的な事項は例えば2:1では1dBの入力が2dBになるとう事で入力に対してどれだけのゲインリダクションされたかの数値をメーターにより知り
凹んだ分量をアウトレベルで補うというだけの事です。
結果、入力(わかりやすい例として歌手)は通常の平歌のレベルを0dBとして少し小さく唄いたい部分を-1dBとしてもその部分はコンプレスされて0dBで自分のモニターに戻ってくる事です。
反対に大きく唄う部分を3dBとしてもコンプはそのレベルを制御して0dBとしてモニター、収録されるので「大きすぎた?歪んだ?」とか心配せずに済みます。
この設定をどれだけ配慮出来るかという事項がエンジニアとして問われ、アーチストから信頼されるの重要なファクターである事は明らかです。
最近はコンソールで録音する事が無くなっているのでフェーダーを使う事が全く無いようですが、都合の良いフェーダーを作って売ったら必ず売れると思いますがね?
更に上級レベルになってくると高級プリアンプにはA-CLASSのEQが付いています。この製品はまず最初の入力段階でトランスを通過します。その後プリアンプ〜EQを通過してさらにトランスを通して
音が出て来ます。なのでスルーレートが遅く、もったり、ぶっとい音になるのですが、トランスを2個通過してからコンプに接続すると特に小さい音量で正確唄う歌手の方にはS/Nが悪くなりがち(音が濁る)です。やはりプリアンプ後でコンプ用信号を取り出す方が失敗しません。
コンプで制御された音がEQを通過して(EQによる修正)アウト・トランスを通りフェーダーでレベルの微調整を行いI/Oに入れば
歌録りに時間もかからず、必ずしもアントレスのお世話にならなくともいいわけで、おおよそのヒットソングはこの方式を持って録音されているのが事実です。
コンプレッサーにもおおまかに分けて凹んだレベルをマニアルで持ち上げるタイプと凹んだレベルを自動的に持ち上げてくれるオートマ仕様があります。
代表的なのがSSLですが、これは便利でスレッショルドを上げてゲインリダクションされてもレベルがの差を自動的に持ち上げてくれるのです。
SSL全盛の頃にはフェーダーやEQで音の強弱やディーテルを調整するのではなくコンプをいじくり廻してMIXしました。曲が始まって終わるまでどれだけ黄色いLEDが天に向かって輝いていた事か。
しかしコンプは音そのものの凹凸を無くしてしまうサンドペーパーのような道具になってしまうのも事実です。
僕は特に好んで使うコンプレッサーはTELETORONIXのLA-2AとUREI 1176です。この2機種はマストでLA-2AはMIXの時に、1176は主に録音のときです。
LA-2Aの構造とはこれ以上のアナログはなく、光学プォトセルに電流を与えて(入力)光の通過が遅くなると抵抗値を上げてゲインをコンロールするというまるで灯籠のような仕掛けです。
ちなみに僕の所有するLA-2AはNYのHIT FACTORYが閉鎖した時に特別に選ばせてもらった機種で数々の栄光がこのフォトセルを通過して来て今も名作を生み出すために活躍しています。
MIXをしている最中というのはどう仕上がるかは最後にプリントするまでまったくわからないのでこのような曖昧な効き具合のコンプを主役になるエレメントに使うと非常に人間味あふれる作品に仕上がります。逆に1176の基本的な性能は音を制御する役割には完璧です。アタック/リリースそして幅広く選べるレシオなど〜これがあればどのような暴れ馬的な素材でも素晴らしく
収録しながら録音されている人も自分の音楽を楽しめます。過激な使い方にも対応してレシオを全押しや、オペアンプをサチュレートさせた効果もだせます。その無限な使用方法は傑作と呼ばれるゆえんです。


*上のLA-2Aがオリジナル下のLA-2AはUniversal Audioよりの復刻版です。
April 26th, 2009
5月号のアドリブにREDEZVOUS IN PARISの記事を特集して頂きました。
とてもポジティブな評論も頂戴して大変光栄です。
昔は音楽誌に評価されるという事が大変にセールスに重要なファクターでしたが昨今デジタル/レンタル配信時代で音そのものクオリティーもさることながら
音楽自体のバリューすら語るに足りない今日この頃、このように取り上げて頂くのは大変に光栄な出来事です。
もちろん、今回の作品はノートパソコンのスピーカーからも、100万円以上のハイファイ・スピーカーからもそしてホーム・シアターの5.1からも遜色なく楽しめるように
PRODUCE~MIXしてありますので、音楽の楽しさを十分堪能していただけると思います。
余談ですが、5月号の表紙の人、Melody Gardot 素晴らしく良いですね。
デビュー当時のUTADAさんを思い出させる様な魔法に満ちたエッセンスと輝きを感じます。注目です。
April 18th, 2009
Here is Another Mix I did for NHK out and about
If you can see them please check it out!!