rulururu

post OVER SAMPLING (続)

July 9th, 2009

Filed under: New Mixes — goh @ 17:14:42

いつか試聴したいと待ち望んでいたD/A convertorがデモで拙宅に到着した。
このD/A convertorは最新のスイッチング電源を備え、なんと2608回ものOver Sampleを行うのである。その上に独自のデジタルフィルターを通り
完璧なまでのノイズシェイピングを可能にしているのである。
一般的にD/A convertorにはプロユースを前提に設計されたPRISM SOUNDやLAVERY等、遅延がなるべく少ない仕様に設計されている分
本来の「音色を創る」と意図に欠けた製品が多く、ただ単に「高精度な道具」としての印象が強くどれも余り魅力的ではなかったが、このCHORD ELECTRONICS QDB76
プロ仕様にはない「音の個性」を非常に強く感じられ非常にわたし好みの音がする。
なるほど、このD/A convertorでいろいろなソースを聞くと「良い録音」は素晴らしい音で再現される。最近の銘録音CHRIS BOTTI in BOSTON (live in Boston Hall)
はステージ上の電源ノイズからフロアノイズまで聞こえすぎる程、あたかも中継車の中でモニターしているように生々しく再現される。
自分がグラミー賞受賞に片棒かついだ2000年の録音David SanbornのINSIDEは当時のMIX収録先である1/2″アナログテープのヒスが懐かしく思い出させる。
最近うちのレーベル/SONYにライセンス契約したRENDEZ VOUS IN PARISはBLUE SPECなのでCDからの読み取りが良く音も滑らかだった。
しかし、興味深いのは80年代の作品、特に銘録音とされるDonald Fagan/Nightflyは期待していたほど素晴らしい音ではなかったのはCD制作の行程での進化が今日まで進んでいなかった事が大きな理由であり、これはアナログ盤の方が断然素晴らしい。
そのほかデジタル・リマスターされたLED ZEPPLINや、最新のMELODY GARDOT~等、最新のデジタル時代のソースを見事に再生する。
古いものもそれなりに素晴らしく再生されるが、新しく良い音で収録された作品を更に高いステップに持ち上げる。
このデザイナーは音楽の事情を非常によく判っているんだと思う。

そして最後に実際にAES/EBUとしてPRO-TOOLSの出力を聞いてみるとこれがまた、たまげる程良い音がする。
まず最先端のノイズシェイピングによりPRO-TOOLS独特の固い団子のような音がしない。すべての音のソースが何層にも整頓されてそのソースに合った音に解像されて
再生されているのが目に見えるようになる。
結果、全体にストレスのないアナログ正弦波となってアンプに送り込まれるのでスピーカーに全く負担のない大出力が得られるので長時間の作業で
疲れる原因になる歪みがまったく無いので仕事もはかどる。(ちなみに拙宅のスタジオのPOWER AMPはCHORD社である)

このD/A convertorにはスタジオ用にはあり得ないバッファー機能がついている。2〜3秒くらいの遅延があるのだが、これを通すと更に完璧なノイズシェイピングが行われるので
再生音は信じられないくらい解像度が増す。フェーダーやミュートを行う作業には不適だが、EQやREVERBをかける等等の作業には素晴らしく効果がわかる。
実際に世界レベルのマスタリング・ハウスではこのくらいのバッファーを組んで作業されている事を実感していたので、これはデジタルミックス時代には不可欠だと改めて思った。

解像度の高いモニター環境に身をおいて作業するのとそうでないのとでは結果は明らかである。足りない部分がまったく見えないからである。
デジタル・ミックスの一番の難しさはEQの度合いやREVERBの分量を決めかねるところにある。必ず多すぎるか、少なすぎる。これは解像度の問題に起因している。
アナログの場合はツマミの位置から伝わる手の感覚を元に他の音との馴染みを実際に聞きながら調整できるのだが、デジタルの場合はいかんせん数値の組み合わせ以外なにものでもない。
よって最後の「音になる」部分の精度が低ければその伝達量は50%にも満たないかもしれない。

だからこそデジタルのデーターをいかにアナログらしく聞かせるかとという最大のテーマがD/A Convertorのデザイン、使命であるという大変興味深い結果だった。

ちょっと見た目も映画SPACE ODDESY 2001(2001年宇宙の旅)に登場するHALのようでイギリスらしいユーモアも感じる。
そのうちに何のソースが入力されていなくても勝手に唄いだすかもしれない。……I can sing it for you….
chord-qdb76.jpg

post OVER SAMPLING

July 6th, 2009

Filed under: New Mixes — goh @ 17:53:03

ついに時代はデジタルメディア以外への収録先は無くなった感があります。アナログのハーフインチレコーダーに収録するにもレコーダーはあってもテープも種類が少ない。
アナログのコンソールでパラ出しでMIXしたとしても収録先はデジタル。せいぜい品の良いA/D CONVERTORの選択肢しかない。
そうなるといかに「音」らしいMIX を施し記録させるかに「音楽」の完成度〜成功が問われるわけだが、事ある度にデジタル・クリップについてコンコンと説明してもクリップだらけのAudio Trackやプラグインでクリップを隠しているセッションを受け取る。
実際にクリップしているAudio Trackにプラグインの出力レベル調整によりクリップ点灯は回避されても(メーターはプラグイン処理後のポスト表示である)
これでは実際には歪んだAudio Trackにプラグインをかけているのと同じで、これでは腐った食物に黒い醤油やソースをたっぷりかければ腐った部分が見えないとのおなじである。

先日興味深い説明とテストを行った結果、PRO-TOOLS内でのクリップ表示はハードデイスクからの読み取りから点灯/表示(インターサンプル・エラー)されるものであるとの事。
すなわちINTERFACEでの歪み検出では無い事が判明した。拙宅のシステムはではMIXに使うバスに新たにAES/EBU出力を介してSONYのメーター(DMU-7000)でAES信号としてピークを検知しているが必ずしもクリップ表示が同じである事はない。外部メーターはAES/EBUに変換された信号のオーバー表示をしているのであって、PRO-TOOLSのクリップ点灯はインターサンプル・エラーを表示しているのである。

しかしオーバー・レベルで収録されたAudio Trackが歪んでしまっていたのでは基本的には手の施しようがなく必ず歪んだ箇所はMIX BUSに影響を及ぼす。
そこでAudio Trackの出力前にTRIMをインサートするのだがこのTRIMをインサートする事によりBIT数が失われてゆくのをご存知の方はどれだけいるだろうか?早い話がわざわざLO-FIなんていうプラグインでBIT数を落とす必要がないくらい鮮度が失われる。-2dB~-5dBくらいでは判別は不可能に近いが確実に失われる。
レベルを健康的に大きくすれば良いという古いアナログ的な考えの間違った伝承結果であるように大きすぎるレベルは困りものである。
クリップ表示に戻るが次に問題になるのはプラグイン関係である。
同じようなデザインのコンプにしてもEQにしてもクリップし易いものとそうでないものがある事実にも困るがここでの歪みはMIX BUSSで起こる一時的な歪みではなく致命的な
インターサンプル・エラーによって演算しきれない不純物データだけが再生されるので完全に音が痩せてしまう。
ここを注意せずアナログ感覚でやり過ごすからデジタルミックスは音が細いの、痩せた等と言う事になっているのが実情のようだ。
さて、申し分なくデジタル内部で完璧で納得のゆくMIXができたとしても、出来上がった作品が市場に出回ったときに誰が購入してどんなシステムで聞くかという問題を考えた場合、CDプレイヤーで聞くのが常識ではあるが、最近のCDプレイヤーの技術の進歩から考えて殆どのプレイヤーはOVERSAMPLING仕様になっているのが通常だと思う。
44.1kのデータを内部で88.2K(x2)あるいは176.4K(x4)あるいはそれ以上ににサンプリングし直してアナログ出力とする方式である。素晴らしくレベルコントールされた作品にはこの効果が発揮されるがノリだけで作ったクリップ音楽をOVERSAMPLEしてもそこには何のワードも存在しないただの直線データしかないのでOVER SAMPLERは前後の適当な情報をアルゴリズムによって書き換えてとりあえずデータにすると、これが歪みになるのである。この歪みはアナログのようなサチュレーションでは無く、ただグチャと平べったくなる。
世の中でどんどん技術が進んですでにOVERSAMPLE技術も低価格のCD PLAYERにも搭載されているのみも関わらず作る方がデジタルメデイアを歪んだ使い方をしていてやれデジタルは線が細い等と言いわけしながら音の悪いCDを作っていたら売れるわけがない。確かに歪んだCD等コピーで十分かも知れないと思うコンシュマーの気持ちもわかる気がする。
ところがこの問題に限ってはCDのみなのである。CDは物理的にプレイヤーによる構造上の問題やOVERSAMPLINGによる影響やジッター等に大きく左右されるが、
配信等コンピューターからのダイレクト・ストリーミングに関しては影響は全くない。これも今や配信の方に人気があるのもうなずける。

80年代にレコードが消えてCDの時代になって20数年後の今、CDも当時のカセットのように
コピーしたりするだけのメデイアになりつつありながらも良い音の作品を作ろうという意欲をもつ方々に朗報があります。TRILLIUM LANE labからのTL Master Meterです。
このメーターは実際にover sampleされて何処で歪みが起こったかを検知/予測してくれます。
これされあればとりあえず歪まないマスターをマスタリングハウスに納品あるいはレフとしてクライエントに渡す事ができるのです。
こういった道具はありそうでなかったので大変便利です。
試しにソース側のAudio Trackにこのプラグインを使ってみると結構大変な事になっています。
tlutility_lg_v2_11490.jpg

それからもうひとつOXFORD LIMITER もインターサンプルを表示できる機能があります。
sonnox-oxford-limiter-fig3.jpg
このLIMITERはヘッドルームに余裕があるので相当デカイレベルのレフミックスを作成する事もできます。加えてプロセスの微調節が効くのでフラットな棒状のミックスに
なる事もありません。大変お勧めです。

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